夏頃から毎日継続して来ることが出来ない利用者がいる。
毎日本部で迎えに行く作戦を取り、人を変え、手法を換え
来ることが出来なくても、毎日「待っているよ」と声をかける。
今日も、玄関で「迎えにきたよ~」と声をかける。家族は不在、網戸越しに
大音量のテレビの音が聞こえ、目をやると本人がいた。
テーブルにはコーラの缶が2つと十分なほどのお菓子。
本人にとっては居心地が良いほどこの上なしな状態なのだろう。
作業もしたいわけではない、別にお金には困っていない。外に出るのは面倒。
「明日行くから、絶対行くから」と私に手を振る。
今日は旅行の手紙が渡ることや、職員のみんなが顔をみたいと待っていること、
母に迎えに来るよう頼まれていることなど話している内に、重い腰がようやく動く。
シャワーしてから行くというので、しばらく待つ。本当にシャワーを浴び、ユートピア
のポロシャツを着てズボンもはいてきた。「やっぱりかっこいいねぇ~」と言うとにやり。
しかし、私に限られた時間に近づき、代わりのスタッフに来てもらうと、逃げられないと思ったのかせっかく30分かけて着たポロシャツをわらわらと脱いだ。そこからは着ることもなく、トイレへかけこみ、それ以上出てきてくれることはなかった。
事業所の魅力は作業だけでない、スタッフ、動物、レクリエーションなど様々だ。彼の心にヒット
するものを見いだせていないのは悔しいところだが、これに懲りずにまた明日も迎えに行こう。