S橋さんのお母さんは今年の2月に亡くなりました。
夕食後のホッと一息ついた頃 妹さんからの電話でした。
彼女にとっては突然のお母さんの死…
感情的になり取り乱すのでは、と 覚悟したのですが、拍子抜けするほど普段通りのS橋さん。
勿論驚いてはいましたが、すぐに笑顔でおしゃべりの輪に戻っていました。
でもどこか違う、いつもよりはしゃいでいるような気がしたのは私の思い込みでしょうか。
気になり、無意識に彼女の姿を目で追ってしまった私は、うっかり目を合わせてしまい…
一瞬時間が止まったように、S橋さんも私を見ます。
彼女は、何かを飲み込むように唇を一文字にキュッと結びました。
前にも見たことがある顔です。
パレットに来る前はお母さんと二人で暮らしていたS橋さん。
お母さんが骨折をした時、彼女は二か月ほどパレットに来ていました。
お母さんの退院とともにS橋さんは自宅へ戻ることになり、ささやかなお別れ会をしたのですが…
お母さんの退院はうれしいものの、パレットを離れるのは寂しくもあったのでしょう。
一人一人にプレゼントを手渡しながら、目がうるんできます。
「どーも」 「どーも」 と言う唇が震えています。
でも彼女は唇を一文字にキュッと結んで、そして笑顔を作ります。
彼女の健気な様子に、鼻の奥がツンとしました。
あの時と同じ顔です。
そして夜 S橋さんの部屋から嗚咽が聞こえました。
あの日からもう二か月以上たちました。
S橋さんがニットのベストを持って ネエネエ と話しかけてきます。
衿元がパラパラほつれています。
直せる?それとも捨てたほうがいい?と聞いています。
ウーン、私なら捨てるよなぁ と思っていると
「コレ、アーサンのアーサンのだから」
ああ、お母さんのね
普段は仲良しの姪っ子ちゃんと洋服を買うので、
きれいな色やオシャレな服を着ているS橋さん。
最近は時々地味な色や渋いデザインのものを着ています。
「アーサンの」と言って嬉しそうに教えてくれます。
そっかぁ アーサンのだから着たいんだよね。
捨てるのなら相談しないで捨ててるものね。
なんとかなるかな?
きれいにはできないけど、どうする?
「ウン イイヨ!」
今日はちょっとできないから、明日ね。
「ウン アーサンのだから!」
そして…
何とかパッと見には気が付かないかな?ぐらいに補修できたぞ
(あくまでもパッと見ですが)
アーサン 肌寒い日にはあなたの愛する娘をその温もりで守ってください。
いつも多くの事を明るく笑い飛ばしているS橋さんですが、みんなを心配させまいとする思いで、感情を人前でぐっとこらえたのですね。ブログから愛を感じました。血の繋がった家族ではありませんが、それ以上の家族がそこに存在していますね。朝から感動しました。
鼻の奥がツンともしましたが…涙がポロポロ出て来ちゃいました…
感動しました!!
sakuraさん、kazuchanさん
長ったらしいブログを読んで下さり、コメントまでいただき有難うごさいます。
実はこれ、イメージしていたテーマと違うものになっちゃいました。
捨てようと思うものでも、ちょっと頑張れば再生できるんだね。
物を大事にしなきゃという方向のつもりでしたが
気が付いたらS橋さんのプロモーション?みたいになってしまいました。
そうそう、この日のAMに本部に行き、事務長とS橋さんの話をちょこっとしたのが、間違いの元(?)