秋日和に誘われて、仕事前の階上岳に一登りと出かけた。慣れた登山路は森の匂いと初秋の気配に満ち心を浄化してくれているのが判る。しかし、それもつかの間今年の豪雨で削られた急斜面の路は足場が無く更に勾配がきつくガケに等しい別な路の選択もあったが時間の制約もありそのまま進む事に決めたものの、すでに呼吸が周りの木々を揺さぶる様な激しさである。ここを登り切れば次は楽になると奮起し登りつめたら、そこは期待をよそに再びガケがそびえている。
心臓の音がドラムを叩く様に響き限界を告げている、しかし足が勝手に斜面を踏みしめて行くこれが本当に自分の意志なのかと疑いながら体を任せ登って行く。苦しさの限界はとっくに置いて来た頂上で下界を見つめながら自分の歳を数えていた。果たしてどこまで生きたのだろうか、自分と友人達の面々を重ね合わせ後何日かで来る生まれた日を受け入れる準備をしようと考えた所、突然携帯が鳴り「何時に来んだっけ」と。
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