ひょんな状況から先月お盆明けから送迎をする
ことになった。車の運転自体はどちらかと言えば好きな
方なのでまったく苦にはならない。ただ初めての経験であり
正直言って不安の気持ちの方が勝っていたのは事実である。
案の定、送迎車の中は始めの一週間お通夜状態で過ぎた。
お互いが警戒し合い、勘ぐってる感満載であった。しかしいつの
頃からであろう、本当に自然な形で少しずつ馴染んでいった。
そうそれはまさに馴染んできたという言葉しか思い当たらない。
ある日の一場面、
私:「もうすぐ夏まつりだね~!」
S君:「今祭りに向けて一生懸命練習してるんです♪」
その言葉に続いて彼は何と「風になりたい」を口ずさみ始めた。
それはまるで私に聞かせるというよりか、教えてくれている様な
感じさえ受けた。そう、心が触れた瞬間であった。私も幼い頃から
音楽に親しんできたが、改めて音楽が持つ力にビックリさせられた。
そして何より今まで見せたことのない一面を披露してくれたことが
最大の喜びであった。こうしてホントに少しづつでも心を通わせて
いくことが出来たなら、どんなにか素敵なことだろう。
秋めいてきた9月、ようやくそう思える様になったこの頃である。